2012-04-08

大黒柱をたてるように

昨日、前回紹介したダイニングセットをお客様の家に納品してきました。

あれはほんの5ヶ月ほど前、
深川の情緒ある土地柄に惹かれ、それまでは縁もゆかりも無かった清澄白河に
ギャラリー併設工房を立ち上げ、その開店したばかりのお店を
たまたま見つけて下さったところから始まった今回のお客様との出会いに、
感慨深い思いと、縁というものの不思議さを今改めて感じています。


そして、この「ダイニングテーブル」をデザインする時にいつも想ってきたことは
その家の『大黒柱』のような存在になってくれるといいな、ということでした。


もともと、『大黒柱』というのは
①日本の家屋において建物の構造上中心となる太い柱 と
②家族を支える家の中心となる存在
の意味があります。

こうした、日々の生活や暮らしの中にある「中心」という存在、
そしてその存在の大切さ

例えば、合気道などでは身体の中心を丹田(たんでん)と呼び
常にそこに意識を置くという身体感覚を大事にします。

それはただ真ん中にあるというだけではなく
ずっと変わらずそこにあり、いろいろな想いがそこに集まり、
さまざまな歴史がそこに刻まれます。

小学校の校庭の真ん中にある大きな木のように。

大黒柱がある家というのは残念ながら今や殆ど見かけることはできません。
でも無垢の木でしっかりと作られたダイニングテーブルは
それに取って代わることが出来るものではないかと思っています。

部屋の中心に置かれたテーブルに家族や親戚や友人が集い、あるいは離れ、
そうして使って行く中で、家族の歴史の傷を刻んでいきながら、
いつもみんなが戻ってくる場として、そこにある。

お客様にとってこのダイニングセットがそんな存在にもなりますように。